書評レビュー東大生ブログ 右往左往 「オー!マイキー」と不気味の谷現象
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「オー!マイキー」と不気味の谷現象

「オー!マイキー」を見ていて、ふと思った。

あれ?気持ち悪くないぞ、と。


オー!マイキー」とは、ご存じの通り、アテレコされた人形(マネキン)達によって繰り広げられるコメディドラマ(?)である。なかなかシュールな笑いを追求しているという事で人気があり、劇場版はベルリン映画祭に招待されたりもしたという。


我々は、このマネキンたちが人間のように喋ったり動いたりする奥に、無意識に人間存在を重ね合わせる。だから彼らの動作や会話を”本物”として認識するのだ。つまり、彼らが動き、喋り続ける間においては、我々にとって彼らは人間そのものであるという事だ。


今日のロボット工学者達が見据えている到達点の1つも、ここにある。

人間のように見えるロボット。
その出力値(音声・動作)において、限りなく人間と見なしうるようなロボット。
我々人間が、それらの劇中でのあれこれを自分たちの日常に重ね合わせ、笑ったり泣いたりする。そんなロボットを、研究者達は作ろうとしている。そして、その目標は比較的近いうちに十分に達成しうるものでもある。

そんな人間と見紛うばかりのロボットができたら、それはすなわち人間ではないのか、といったサイバネティクス論をここで振りかざすつもりは毛頭ない。それはまた別の機会に。


そこで本題に戻ると、先のオー!マイキーを見ていて「あれ?気持ち悪くないぞ」と違和感を感じたのは、ロボット工学の世界で有名な「不気味の谷現象」という言葉を思い出したからである。

不気味の谷現象 - Wikipedia

 不気味の谷現象(ぶきみのたにげんしょう、英: The Uncanny Valley)とは、ロボットや他の非人間的対象に対する、人間の感情的反応に関するロボット工学上の概念である。・・・<中略>・・・

 人間のロボットに対する感情的反応について、ロボットがその外観や動作において、より人間らしく作られるようになるにつれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外観や動作と見分けがつかなくなると再びより強い好感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるようになると考えた。

このような、外見と動作が「人間にきわめて近い」ロボットと「人間と全く同じ」ロボットによって引き起こされると予想される嫌悪感の差を不気味の谷と呼ぶ。人間とロボットが生産的に共同作業を行うためには、人間がロボットに対して親近感を持ちうることが不可欠だが、「人間に近い」ロボットは、人間にとってひどく「奇妙」に感じられ、親近感を持てないことから名付けられた。



つまり、ロボットを人間に限りなく似せようとすると、その過程で外観・動作が奇妙で違和感満載になる点が存在するという事だ。


オー!マイキーの登場人物達のような人間との外観類似度に加え、完全に人間と同程度の会話機能を持つロボットを仮定すると、種々の資料より、これは不気味の谷に落ち込んでいても全くおかしくは無いのである。

自分が感じた違和感はそこにある。

彼らは人間に近いロボットであり、しかし全く違和感なく視聴者に人間を想起させる。


思うに、これには大きな理由がある。

それは、劇中の彼らがストーリーを持っている事だ。
彼らの持っている物語と、我々が持っている物語が有機的に融合し、時には共感を生む。我々人間は、多かれ少なかれ彼らと通じ合う中で、彼らの中に自分たちの類似性を見、彼らの中に人間を見ているのである。

時系列的に静的なロボットは、モノである。全くの無機物で構成された機械。
物語を持つ(ように見える)ロボットはそれとは異なる。彼らが物語とともに動き、喋れば、そこには大きな時間の流れが見て取れる。福岡伸一氏の言葉を借りれば、”分子の絶えざる流れが動的な平衡状態を一時的に保っているものにのみ存在する躍動感”である。

オー!マイキーの登場人物達が語る日常は、家族としての関係性をはじめとして、彼らが生きてきた歴史の表出そのものである。そこに「人間」性が宿っていると自分には感じられる。


「ロボットと物語」。
ロボット工学の分野でさえも同じ文脈で語られる事のないこの2つのキーワードが、近い未来のロボット達が不気味の谷を越える為のキーワードであると、ふとそう思った。
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非公開コメント

No title

逆に人間に近いロボットは他の人間を気持ち悪く感じるのでしょうか

No title

>とらさん

ロボットに感情を認めるかどうかも、これは立場の問題ですしねー。。
"水の流れの音と梢のそよぎに寝かしつけられるようにして、ぼくたちは眠りに落ち、そして、世界が若返った夢を見るのだ。"
- J 「ボートの三人男」
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