書評レビュー東大生ブログ 右往左往 書評 - 密閉都市のトリニティ
QLOOKアクセス解析

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

他の東大生のブログは東大生の人気ブログ集 から

web拍手
本エントリーがほんの少しでもお役に立ったなら、クリックお願いします!↓
 

書評 - 密閉都市のトリニティ

Amazonレビューの文字数制限がさすがにうざくなってきた。
なんどはじかれた事か。あれだけは改善して欲しい。

さて。

著者 鳥羽森

【ネタばれあり】

バイオテロで閉鎖された京都で、ウィルスの影響により独自の進化を遂げる生態系と、その裏に隠された陰謀。それに立ち向かう主人公の京都大学教授数。10年に渡る壮大なタイムスケールで描かれたSFミステリ。

ストーリーが目まぐるしく速く進み、主人公が次々と事件に巻き込まれていく中で、次の展開が気になって仕方ないようなグイグイ読ませる本だった。


著者が京都大学の現役教授というだけあって、人工知能、遺伝子進化など広範囲な専門的記述が目立つ。それに本書を貫く「愛」と「性」の可分性・独立性という哲学的テーマや宗教が絡み合い、そのすべてが高いレベルでまとまっている。これだけの広がりを巧く1つのストーリーに治めている著者の教養の深さと巧さが窺える。

排卵開示型の遺伝子の出現って部分が、よく思いついたなーって感心した部分だった。
独自の生物進化による人類全体の進化促進というアイディアは素晴らしい。

ミステリとしても、読者の期待を裏切る展開が続き、全体を振り返ってもよくまとまっていたと思う。それだけに、作中で重要な位置を占めるAI(人工知能)のメカニズムに関する記述については、全体的にお粗末な印象を受けた。もっとシンプルに書くか、より細かく描写した方が、作品全体としての完成度が高まっていたはずで、そこだけが少し残念。ロボットが自殺したロジックなんかは、メタレベルの昇華欲求が行動規範では無い上に、明らかにプログラミング段階で察知・回避可能なものであり、少し?マークがついた。SFとしての本書は、”本物”ではない。
※著者の実名や専門分野は明らかにされておらず、実は人工知能が専門だったなんてことがあれば申し訳ないのでエクスキューズを入れておく(笑)一般読者に理解しやすいように簡素な表現で済ませたのであれば、まぁいいのかなとも思うし、個人的には大事な部分だっただけにもうちょい踏み込んで欲しかったな、という希望が上記記述に含まれているだけである。


「愛」と「性」について多くの色恋沙汰がリアルに描かれているのだが、主人公の社会学研究所教授(R50のおっさん)がものすごい遊び人で、同年代から若い子まであらゆる女性にキスをする。このキャラ設定はいかがなもんかと思った。あと、非常に強烈な記述も多く、マインドコントロールができるレイプ魔が登場したり、同性愛が克明に描かれていたりする。性交渉に関する直接的な表現も、本書の特徴だろう。


総括して、アイディア、構成等、処女作とは思えないほど成熟した筆致は、唸るほかないと感じた。
暴力的な表現や専門的な表現のために読者を選び、万人に薦められるものでは決してないので、「名作」と評していいのかは迷うが、個人的には文句なしに星5つをつけられる一冊。


密閉都市のトリニティ


関連記事:
人工知能の限界
人工知能について
書評 - 夜は短し 歩けよ乙女
もっとふわふわした京都のはなし
関連記事

他の東大生のブログは東大生の人気ブログ集 から

web拍手
本エントリーがほんの少しでもお役に立ったなら、クリックお願いします!↓
 

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

"水の流れの音と梢のそよぎに寝かしつけられるようにして、ぼくたちは眠りに落ち、そして、世界が若返った夢を見るのだ。"
- J 「ボートの三人男」
プロフィール

本棚のアウトソーシングに成功しました。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
Lc.ツリータグリスト
検索フォーム
FC2カウンター
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。