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書評 - 知識人の裏切り

-どこまで続く、平成日本の漂流 (文庫)
西部 邁, 波頭 亮 著

マニアならずとも手に取らずにはいられない。まさかこの2人の共著とは。
20世紀を代表する全く異なる分野の”知識人”2人による対談集。

誰も語らなかった視点で社会の本質を突く、刺激に満ち満ちた内容。



本書は、評論家・思想家である西部氏と、経営コンサルタントである波頭氏が1992年と2009年に行った2編の対談を収めた対談集である。1992年の対談における主張を、17年たった現在に再検証するという内容になっている。


一回目の対談の論点は、市場主義経済への懐疑、価値の相対化に対する批判、知識人の堕落などなど多岐に渡り、危機に瀕している日本社会の病巣を包括的に論じている。当時、「小難しい」として出版が見合わされたのも納得できる、非常に濃密な思想書といった感じ。

2回目の対談でも、17年の時を経たとは思えないほど日本が抱える問題点は変わらない。新たに言及されたのは、インターネット産業やそれに関わるコミュニケーション方法の推移、デジタルディバイドなど数点にとどまる。

その意味で、彼らが1992年当時に語っていた事は現在にも通用するものであり本質に近いものであったことがわかるが、それらが未だに解決されていない事実をも浮き彫りにする。


対談そのものは、互いの得意とする分野の違いを全く感じさせない心地よい掛け合いのなかで進んでいく。衆愚を切り、政府を切り、知識人をぶった切る西部節は相変わらずであり、それに波頭氏が頷いているという構図が多い。
どちらも経済畑出身のため、古典経済学や現代の社会を解釈するための新しい経済のあり方は、2回ともで十分に時間を割いて述べられていた。

現代の若者が思考を辞めてしまった事についての西部氏の考察が面白かったし、全体的になるほどと唸らされる議論が多かった。学びつつ、楽しく読めた。


ただ、それだけに惜しい点もある。
インターネットに関する考察があまりにもお粗末。
両者ともインターネットに精通しているわけではなく、西部氏に至っては、ネット歴1日だという。
ほとんど否定的なスタンスが随所に表れるが、あまり情報が無い中で希薄な根拠を元にした議論が繰り返され、正直とっても賛同できる内容ではなかった。

これらのフィールドは、彼らが論じるべきでは無かったのではないか。

その点だけが減点要因だが、それを差し引いてもなお、読むべき本だと思う。
久しぶりに知的にストレッチされた気がする。


知識人の裏切り ─どこまで続く、平成日本の漂流


関連記事:
知性の構造
西部氏の著作。必読書。
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