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神と科学は共存できるか?

スティーヴン・ジェイ・グールド 著
狩野秀之 他 訳

ハーバードの進化生物学者であり、人気エッセイストでもある著者が、科学と宗教の共存可能性について述べた本。

宗教と科学に関する言説は少なくないが、その中でも最も納得が出来、なおかつ明日からでもためになるのは、本書をおいて他には無い。


本書における著者のメッセージは、以下に集約される。
「宗教と科学の共存は可能であり、それぞれの範囲を適度に守りながら棲み分けることが重要である。」

過去の歴史の中で起こった科学と宗教に関する大小様々な事例を紐解きながら、この2つが対立してきたという考え方は間違いに過ぎないと述べる。
科学は自身の範囲を安易に拡大すべきではないし、宗教は自然の現象に道徳的な真実を見出すべきではない。自然の事実性と人間の道徳性は互いに不可侵ではあるが、双方に対する尊敬と建設的な話し合いによってこそ、幸せな関係を築く事が出来る。
そう、著者は指摘する。

著者のスタンスは一貫しており、ドーキンスらの思想との対比という点からも、面白く読めた。
豊富な事例とその明快な語り口によって、散々言いつくされてきたはずの神と科学に関するテーマにおいても、読者を全く飽きさせないと感じた。


そうなのだ。
科学は、人間の精神世界においてそれ自身がどれほど無力か知るべきであり、謙虚な姿勢を持たなければならない。
そして宗教も、全ての事象に意味を見出す意味付けマシーンとしての役回りを卒業しなければいけないのだ。
この、文字にすると当たり前のように思える態度こそが本書における本質的な議論であり、我々一般人-一見科学と宗教どちらにもかかわっていないように思える-も心にしっかりと留めておかなければいけない事なのだ。

ライフハックの本を何十冊読むよりも、この部分の本質を理解することの方が、より自分を幸せな人生に導いてくれる。



本書について一点だけ気になった事を書くと、グールドは宗教と道徳を同一視してしまっている感がある。
進化論を否定する考え方が宗教の多数派ではありえないと著者が述べているのと同じく、宗教は科学と棲み分けて人類を導いていく道徳の中のほんの一部に過ぎない。その点に少し違和感を感じた。

神と科学は共存できるか?


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