書評レビュー東大生ブログ 右往左往 書評:★★★★☆
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書評「僕秩プレミアム!」  | 彼だけが見る秩序

ヨシナガ 著
★★★★☆

本書は、人気WEBサイト「僕の見た秩序。」管理人ヨシナガ氏の、携帯アプリ配信用コラムを集めたもの。


各記事において扱っているテーマは、普通のブログと同じように何気ない日常の出来事なのだが、それを笑いあり哲学ありの著者独自の斜めの視点から鮮やかに描き出している。

それぞれが軽く、非常に読みやすかったし、色々と新鮮な驚きもあった。


上記の本家サイトは笑いの要素が強いのだが、本書においては人生や社会についての大真面目な考察を見ることができる。


感心するぐらい鋭い切り口の記事が多かったのだが、幾つか具体例をあげると、

・信号がLEDだと、周波数の関係でデジカメに写らない。なので、未来に風景を認識するロボットが出てきた時には信号は認識できなくて困るんじゃないか。
・完全な球体に写った地球の写真は非常に少なく(一部が陰になってしまうため)、我々が目にする丸い地球の写真は大体同じ写真。
・新体操やフィギアスケートにおいて、審査員の評価を上げるために、自分の楽曲の要所要所に観客の歓声を差し込んでおくといい。


って、読み返すと結構トリビア的なやつも多かった。


ヨシナガ氏の凄さとは何か。



ネットの世界に少しでも精通している人間は、彼のHPをこう評する。

”愛すべきバカサイト”


では、総アクセス数1億5千万を誇る「僕の見た秩序。」管理人である”愛すべきバカ”ヨシナガ氏の凄さとは何か。

1.「気付く」力
なんてことないように見える日常の、些細な歪み、違和感を捉える力。
彼の記事から垣間見えるのは、その着眼点の鋭さの裏にある、宝探しの圧倒的な経験値。
そして、それによって支えられた、気付き力。

常に目を凝らし、考え続けた人だけが持ちえる解像度がある。

2.展開力
目の前にある事象をどう解釈するかは人それぞれだが、ヨシナガ氏のそれは、なんと言うか、アクロバティックなのだ。
斜め78°ぐらいから切り込むその論理展開は、斬新かつ面白いものが非常に多い。

一部を見て全体を捉える、思考を逆に振る、本質を捕まえる。
これらの思考方法と面白いアイディアを出す能力が混ざり合って起こる化学反応。

+α.ユーモア
面白い。




著者自身が言うように、これらの考察には深さはない。
主張の説得力も十分とは言えないかもしれない。

ただ、それを補って余りある「何か」をヨシナガ氏は持っていると思う。
(コラムの性質上、そんなかっちりした書きモノができないってのも当然あるだろう)


本書の結びで著者は言う。

だから本書を読んでくださったみなさんには、コラム一つ一つの内容というよりも、

泥臭いネットの世界で、ちょっぴりひねくれた僕が日々感じ取っている空気感

のようなものがほんの少しでも伝われば幸いである。




きっと、僕らが見た世界の秩序と彼が見る世界の見え方は大分違っているんだろう。
僕たちには、本書を読んでその空気感をおすそ分けしてもらう事ぐらいしかできないのかもしれない。
より鮮やかに躍動しているであろう、その空気感を。


最後に、本書の一番最後の記事から引用して終わろう思う。

ヨシナガ氏が虹が動くという事実を発見した高校時代から10年が過ぎ、今でもあの虹に感動できるのか考える場面。
彼ははっきりと、否定する。

確実に失いゆくあのころの気持ち。

今でもきっと雨が上がるたびに、どこかに出る虹に試されているんだろうと思う。

僕の人生そのものが。




僕秩プレミアム! (アフタヌーン新書 004)

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

「デカルト」「ソシュールと言語学」

2冊まとめて書評。

いや、別に内容の親和性が高いとかじゃないし、1つの記事にまとめる必要もないんだけど、なんとなく。


「ソシュールと言語学」
-言葉はなぜ通じるのか
町田健 著

それまで行われてきた比較言語学を超え、初めて言語が持つ規則性や伝達のメカニズムに注目した近代言語学の開祖、フェルディナン・ド・ソシュールの思想とその影響を、わかりやすく書いた入門書。

言語を初めて”科学的”に分析しようとしたソシュールの思想体系は、本来かなり難解な内容を含み、誰にでもわかるレベルまで落とし込むのは難しい。
そんな作業を丁寧に行い、その体系の核の部分を伝えることに、著者は成功しているように思う。
自分はソシュールの言語学の概要はある程度知っていたのであまり引っかからずに読めたが、音素記号、相補分布と自由変異の所など一部の内容は、ゼロ知識では少し難解かもしれないが。


なによりも特筆すべき点は、本書が単にソシュールの言語学をまとめているにとどまらず、著者の問題意識と批判が多く詰まったものであるということだろう。
ソシュールや彼の周囲の言語学者の主張の欠点、構造主義的言語学の限界を、著者はためらいもなく指摘する。
そしてそれらの指摘とソシュールらの主張部分がうまく混ざりあい、言語学の全体を垣間見ることが出来る。
その意味で、ある程度示唆に富む内容になっている。

単なるまとめ以上のものとして、面白く読めた。

星4つ。


「デカルト」
野田又夫

オーソドックスなデカルトまとめ本。
彼の生涯を追い、その思想を解説したものとして、ごく標準的な内容。

デカルトの思想が、過不足なくよくまとめられていると感じた。
原典を読みたくなった。

星3つ。



2冊とも結構前に読んで机に放置してたものだから、書評も覚えてる範囲でざっくりしてるかもしれない。
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ゴールは偶然の産物ではない

- FCバルセロナ流 世界最強マネジメント

Ferran Soriano 著

ソシオとしても、ビジネスに携わる者としても、スポーツに関する考え得る限り最高の一冊。

バルサファンの自分は文句なしに楽しめたが、そうでなくとも、ビジネスに携わるすべての人にとって有用な、近年サッカービジネスについて書かれた本の中では出色の出来。

経営コンサルタントとしての経歴を持つ著者によって、サッカービジネスが”しっかりと”記述されており、
普段あまり考える事のない、クラブチームの運営について、多くの学びが得られた。

前半は、サッカークラブというビジネスモデルの概要を多くのチャートも駆使して説明している。
この部分だけでも、多くの知見が得られる。

チームのバリューチェーン(価値連鎖)は、以下の通りらしい。

選手 → 試合(リーグ、FIFA等の運営団体)

     → クラブ → スポンサー → テレビ・メディア

なるほど。

直感的にはあんまり納得できなかったけど、説明を見たら腹に落ちた。


後半は、チームが勝つために選手に必要とされるものはなにか、イノベーションとはなにか、など各論についての説明をしている。
この部分は、それぞれの項目の関連性が不明で、ややまとまりに欠けるように見えた。


しかし、本書を読む事で受けられる恩恵は大きい。
監督としてのチームマネジメント、経営者としてのクラブのマネジメント。
これらの考え方を学ぶ事によって、試合を見る時の視点が1つどころか2つも3つも加わり、よりサッカーを純粋に楽しめるのではないだろうか。

2003年から行われたクラブの大改革の実態や、バルサの選手の移籍に関する裏話など、読み物としてもなかなかだった。

FCバルセロナがどのようにして世界最強クラブの座に鎮座したのか、その真髄が見える一冊。




そして次の週末もまた、イムノの大合唱が聖地カンプ・ノウに響き渡る、、、、
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数学は言葉

新井紀子 著

数学を言語と捉える事によって、その文法を学び作文の仕方を学ぶ必要性を鮮やかに浮かび上がらせた本書は、素晴らしいとしか言いようがない。
数学でつまづいた経験のある人や苦手意識を持つ人にとっては、なぜうまくいかなかったかが理解できるはずだ。

本書は、まず論理記号、論理結合子を学ぶ事から始め、徐々に証明問題などに進んでいく内容となっている。
3本柱である和文数訳、数文和訳、作文それぞれに演習問題がついていて、読んだものを咀嚼しながら進む事が出来る。
この一連のプロセスを一通りこなせば、確実に数学との”距離”が縮まるはずだ。

ただ、文系で数学にほとんど触れていない人でもすんなり読み通せるかと言うと、少し難しいのではないかと感じる。
また、本書の内容をすべて理解したからと言って、著者の言うように解析学や代数学へ進めるかは少し疑問だと思う。

関連記事
数学的コスモロジーと、この世界
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働かざるもの、飢えるべからず。

小飼弾 著

著名アルファブロガーである著者が、理想の社会構築に向けた提言を行っている。

著者の他の本は、内容が浅く抽象度も高い。恐らくは、特に考えることもなく書くことができたはずだ。読者にとって得られるものも多くはなかった。
しかし、本書に書かれている内容は、それらの本とは明らかに一線を画す。そこには、体系的にまとめあげられた良質な仮説があり、著者の頭のキレがしっかりと表れていたと思う。

本書での著者の主張は、ベーシックインカム+社会相続というシステムを作る、という事に尽きる。
ベーシックインカムとは、国民全員にそれぞれが最低限の生活を送れるぐらいの所得を配分し続ける、という制度であり、これによって貧困が存在しなくなると著者は言う。
そして、貧困層が無くなることで家計消費が押し上げられ、金の回りがよくなる。
では、その莫大な財源をどのように確保するのか。
その答えが、社会相続というわけだ。
相続を廃止し、すべての遺産を社会に還元する事で、財源を作り出す。

ここまでを聞いて、実行可能性についていくつかの疑問点が生まれるが、それに対しても、著者は丁寧に答えている。

上の主張において、本書では特にデータを押さえているわけではなく、あくまで仮説ではあるが、そこにはかなり大きな納得感があると思う。


本書の欠点は3つほどある。
1つは、著者の唱える社会が、必要最低限の労働力を担保できないという事。
全員が暮らせる程度の収入を与えられるなら、働かない人が多く出るだろう。
やりたい人だけやればいいというスタンスで、社会が機能するほどの労働力が得られるか、そこに著者の考えの甘さがあるように思う。
2つ目は、本書の主張を実行に移す方法については、ほとんど触れられていない事。
これを実行するためには価値観の大幅なパラダイムシフトが必要となるが、それを乗り越える事がいかに難しいかは想像に難くない。
最後の点は、本書後半の対談について、得られるものが少なかった事。
出版社が仏教系という事で差し込んだんだなーという感じが相当出ているこの対談は、別に本書でなくてもよかったのでは?と思わざるを得ない。

総括として星4つだが、一読に値する良書だと思う。



合わせて読む
空気を読むな、本を読め。
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テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

"水の流れの音と梢のそよぎに寝かしつけられるようにして、ぼくたちは眠りに落ち、そして、世界が若返った夢を見るのだ。"
- J 「ボートの三人男」
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yack

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