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寝ながら学べる構造主義

内田樹 著 ★★★★★

人間の思考や行動様式は、いかなる状況においても、特定の”構造”に支配される。

ソシュールから始まり、世界の思想の中に大きなうねりを生み出した構造主義を、平易な文章で説明した本。


本書のテーマは、難解な対象を誰にでも理解できるように噛み砕いて伝える事。

だけではない。
構造主義の諸思想に読者が興味を持ち、次のステップに進むための道しるべになるような本である事だ。入門書とは、そういうものの事をいう。

その意味で、本書は非常に面白く、紹介されている分野の参考文献や関連本に当たってみたいと強く思わせた事で、十二分にその役割を果たしたと思う。

なので、正直構造主義の専門家から見ると単純化しすぎている部分があるのかもしれないが、本質を捉えているかどうかは本書の価値を損なう点ではないと考える。


個人的には、ニーチェの思想全般、フーコーの系統学的思考、レヴィ・ストロースの野生の思考の部分なんかで、知的興奮をたくさん味わった。

本書を読み進めていくうちに、自分が持っている自由の度合いがどんどん狭められていくような感覚に陥るだろう。
結局のところ、自我とは、我々がうかがい知ることのできない遥か昔に誰かによって決められたもので、人間はそのルールに従って生きることしかできないのだ。そんな事を改めて気付かせてくれる。

それは決してネガティブなメッセージではないとも、彼らは教えてくれるのだが。

人間の本質に鋭く迫った、構造主義の担い手たちの英知が詰まった、刺激的な一冊。

寝ながら学べる構造主義



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テーマ : 哲学/倫理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

名著再読:問題発見プロフェッショナル

数年前に何回か読み、その後本棚にどっしりと鎮座していた本書を手に取ったのは、相応の必要性があっての事。

前著「問題解決プロフェッショナル」と本書の2冊は、戦略系のコンサルティングファームにおいての新人研修の教科書にも使われる、10年以上の時の洗礼を乗り越えてきた名著だ。

この本において著者は、問題を解決するには、まずは解決すべき問題を正しく定義できなければいけないと説く。
そして、問題を捉えきれていない例が、非常に多いと。

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知性の構造

西部邁 著


驚きとともに畏怖の念を感じずにはいられない。

かくも巨大な知性が存在した事に。
こんな本が、日本で書かれていたという事実に。

そして感謝したい。
人生の遅からぬ時期に、本書と巡り合えたとてつもない幸運に。


本書は、思想家であり著名な論客である著者が、日本における知の堕落の現状を喝破した上で、知性とは何か、そして言語とは何かを、85点の図を用いて記述したものだ。


本書においては、まず、知や思考、価値についての構造化が行われ、それらは主に平面、立体上に図示される。そして、日本の一般人/知識人が抱えている問題をその図中で論じていく、という風に主張が展開されている。
考察の対象は多岐に渡り、学問や意味表現、文明の構造と、幅広く論じられている。


Amazonの商品ページでは、10件のレビュー中実に5人のベスト1000レビュアーがひしめき合っていて、あまり見た事がないような状況になっている。


恐らくは、読後感が人によってかなり違う類のものだろう。
一昔前の本なのでよく知らないが、多くの喧騒が巻き起こったかもしれない。
それぐらい、刺激的な内容。

確かに、知性の構造とは多次元的かつ多層的な絡まりを持つものであり、本書において用いられている2次元、3次元でのモデル化(図解)は無謀な試みだろう。その点に関しては議論の余地はない。

ただ、それでもこの難解なテーマに真正面から立ち向かった著者の試みは評価されて然るべきであり、その思索の中にこそ、知性とは何か、考えるとは何かを見出す事が出来た。
そして、その不格好さが垣間見える思索によって初めて、腑に落ちる説明がなされていると感じた。

本書は、言うまでもなく”著者の”知性の構造を表したものだが、いかにして思考するかについて、実に多くの事を学ぶ事が出来た。


許されるなら、星を7つほど付けたいところ。 (Amazon)


これまで積み上げてきた千以上の読書体験の中にあって、本書はひときわ輝いているように感じる。

難解な表現や哲学用語が乱れ飛んでいるので2割ほど理解できない部分があったが、これから幾度となく読み返す事になるのは間違いない。


日本もまだまだ捨てたもんじゃない。

知性の構造

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未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家

シルヴァン・ダルニル , マチュー・ルルー , 永田千奈 著

本書には、エネルギーがあふれている。

今を見つめ、未来を望む企業家のストーリーが数多く詰まっている。

貧困や環境問題を解決するために立ち上がった社会企業家たちの胸が熱くなるようなストーリーは、読者に色々な事を教えてくれる。

意志を貫く事
皆の幸せを考える事

同じ地球上で、しかも日本とは比較にならないほど貧しい環境で育ってきた人たちの偉業は、人間の可能性を存分に見せてくれる。

ソーシャルアントレプレナーとしての彼らの問題意識の高さやリーダーシップにも、学ぶ点が多かった。


未来を変える事は、決して不可能ではない。
そんなメッセージがあふれた一冊。

読みながら、何度も泣いてしまった。
彼らの力強さに圧倒された。

自分が目指しているのもこういうところだけど、その視座の高さや精神力など、全然かなわないと思うような人ばっかりだった。
頑張らねば。。


具体的な内容は、実際に読んでみるといいと思います

未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家

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書評 系統樹思考の世界

すべてはツリーとともに
三中信宏 著


本書は、進化生物学・生物系統学者の著者による、系統学の入門書である。

”歴史をいかに科学するか”という問いに貫かれている本書は、生物学を例にとり、また科学哲学全般における主要な論点や著者の実体験を踏まえて、系統樹の歴史とその位置付け、使用法について幅広く説明している。

本書の前半部分からは、深遠なる歴史の系譜と、それに対する広大なる形而上学的思索を見渡す事が出来る。

後半部分は、歴史の系統推定法として著者が提案するアブダクションの説明にページが割かれている。

話題に上るトピックスの範囲はかなり幅広く、様々な分野における系統樹の存在について多くの知見を得られる。

確かに、他のレビューにあるように系統推定についてはやや突っ込み方が足りないとは思う。
数式まで持ち出した割には、基本の「き」ぐらいでやめてしまった感がある。
エピローグで著者自身が語るように、論点が絞れていないとの批判も当てはまると言えよう。

しかし、全編を通して随所に垣間見える、この世界の眺めを愉しむ”科学者としての著者”の気持ちは、同じ科学に携わる者としては痛いほどわかるのである。
読者にも同様の楽しみを提示する姿勢は、一定の評価に値するのではないかと思う。

著者が意図する以上に、思考者としての著者自身から学べるものは多かった。

また、本書において系統樹思考と対置されている分類思考についての著書も合わせて読むと、より立体的にこの分野の奥行きが掴める。

本書のレベルに関して、あくまで系統推定本としての”入門書”であり、哲学的な考察については、平易な文とは言えないかもしれない。注意が必要。


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"水の流れの音と梢のそよぎに寝かしつけられるようにして、ぼくたちは眠りに落ち、そして、世界が若返った夢を見るのだ。"
- J 「ボートの三人男」
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